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ユーザーコミュニティとは?事例でわかる構築のメリットと成功のコツ

ユーザーコミュニティとは、特定のサービスや商品のユーザー同士が、情報交換やトラブル時の助け合いをする場です。

インターネットの黎明期から現在に至るまで、さまざまなユーザーコミュニティが生まれてきました

近年では、食品・家電・アパレルなどの商材でも、顧客が集う場としてユーザーコミュニティを構築するブランドが増えています。

この記事では、ユーザーコミュニティについて、目的やメリット、作り方まで解説します。
現在のマーケティングトレンドとして押さえたい情報を把握できる構成
となっていますので、ユーザーコミュニティが気になっている方は、ご一読ください。

1. ユーザーコミュニティとは?基本の知識

最初にユーザーコミュニティとは何か、基本の知識からご紹介します。

1-1. ユーザーコミュニティとは何か

ユーザーコミュニティは、特定のブランドや商品・サービスの利用者(購入者)であるユーザーたちが、情報交換やコミュニケーションを目的として集まる場のことです。

ユーザー同士の助け合いの場であると同時に、企業には、商品・サービスの品質改善やロイヤルティの向上といったマーケティング効果がもたらされます

ユーザーコミュニティの形態は、オンラインのフォーラムやSNSグループが中心ですが、オフラインのイベントを含むこともあります。

1-2. ユーザーコミュニティの誕生と変遷

ユーザーコミュニティは、インターネットの普及とともに発展してきました。

黎明期のユーザーコミュニティとしては、1995年に設立されたeBay(世界最大級の越境ECプラットフォーム)のコミュニティが挙げられます。

その後、Microsoft、Dell、Appleなど、多くの企業がユーザーコミュニティを作り始めました。

たとえば、Appleの「Apple サポートコミュニティ」は、世界中のAppleユーザーがつながる場として、活気に満ちています。

【Apple サポートコミュニティ】

出典:Apple サポートコミュニティ

1-3. ユーザーコミュニティの目的の変化

ユーザーコミュニティの近年の動向として押さえたいポイントは、ユーザーコミュニティの目的の変化です

先に例を出したAppleのようなサポートコミュニティは、トラブルシューティングやナレッジ共有など、「ユーザー同士の助け合い」の意味合いが強いものでした。

一方、2010年前後から、企業・ブランドが、顧客とのエンゲージメントを深める目的で、ユーザーコミュニティを活用するケースが増えていきます。

世界的に有名な事例は、LEGO社の「LEGO IDEAS」です。前身となるコミュニティは2008年にスタートし、現在では LEGO IDEAS の名称で運営されています。

【LEGO IDEAS】

出典:LEGO IDEAS

LEGO IDEAS は、LEGOファンが自分のアイデアを出し、採用されればLEGOの商品として商品化されるという、ユニークな仕組みを持っています。

顧客と企業・ブランドの関係性を強化する、現代的なコミュニティ施策の好例として注目される事例です。

2. 近年のユーザーコミュニティ 国内事例

続いて、近年のユーザーコミュニティの動向をつかむために、国内事例をご紹介します。

冒頭で「食品・家電などの商材でも、ユーザーコミュニティを構築するブランドが増えている」とお伝えしました。

実際にどのようなユーザーコミュニティがあるのか、実例をご覧いただくとイメージしやすいはずです。

1.【食品】BASE FOOD Labo
2.【家電】ホットクック部
3.【サブスク】TEAM Tarzan

それぞれ、見ていきましょう。

2-1. 【食品】BASE FOOD Labo

出典:BASE FOOD Labo

1つめの事例は、ベースフード株式会社が運営するユーザーコミュニティ「BASE FOOD Labo」です。

【事例データ】

[課題]
・リアルな活用シーンを他のお客さまに効果的に伝えたい
・お客さまからのフィードバックにいち早くキャッチアップしたい

[活用内容]
・毎月の『ラボ企画』で新商品の希望やオリジナル商品の提案を受付
・代表や開発担当など全社員が情報を発信し、ユーザーと交流
・新商品を試食してくれる方やモニターとなってくれる方の募集

[成果]
・アレンジレシピや新商品アイデアなどが活発に投稿され、顧客理解が深まる
・直接的にお客様の声が聞けるため、スピーディに新たに商品開発・改良に反映させられている

出典:ベースフード株式会社 vol.2 「ユーザーがユーザーに働きかける好循環。コミュニティ内の投稿が商品理解の促進と新商品アイデアの源泉に」 

「BASE FOOD」では、メンバーを「Labo研究員」と位置づけるコンセプトが特徴的です。

メンバーは、研究員としての活動として、商品開発のアンケートや新商品の発案、試食やモニターなどの活動を行っています。

多くの投稿が寄せられ、投稿に対して他メンバーのリアクションも多数あり、非常に成功しているユーザーコミュニティです。

競争が激化するD2C業界において、ユーザーコミュニティで培われる、唯一無二のつながり」が、強い競争力となっています。

3. 企業がユーザーコミュニティに取り組むメリット

ユーザーコミュニティについて、具体的にイメージがつかめてきたら、メリットについてまとめておきましょう。

5つのポイントがあります。

1.広告宣伝とは異なる角度からアプローチできる
2.顧客が抱える多様な課題の解決ツールとして機能する
3.コミュニティを通じた企業・サービスへの愛着が顧客離反率を下げる
4.共創によるイノベーションが期待できる
5.競争上の優位性につながる

3-1. 広告宣伝とは異なる角度からアプローチできる

1つめのポイントは「広告宣伝とは異なる角度からアプローチできる」です。

たとえば、「リアルな活用シーンをもっと知ってほしい」と企業サイドが考えたとき、企業発信で活用シーンを提案しても、なかなかユーザーの心に届きません。

一方、他のユーザーが、
「こんな使い方をしたらとてもよかった」
と投稿しているのを見ると、
「私もぜひやってみたい」
という気持ちが湧いてきます。

近年、ユーザーの広告宣伝に対する信頼度が落ち、代わりに友人・家族や他のユーザーの口コミを信頼していると示唆する調査レポートが、相次いで公表されています(例:KantarNielsen)。

ユーザーコミュニティを作ることは、広告宣伝以外の良質なタッチポイント(顧客接点)を増やすことにほかなりません。

3-2. 顧客が抱える多様な課題の解決ツールとして機能する

2つめのポイントは「顧客が抱える多様な課題の解決ツールとして機能する」です。

AppleやMicrosoftのユーザーコミュニティが、ユーザーの課題解決の場として機能してきたように、自社の顧客が抱える課題をユーザーコミュニティで解決できます。

「同じ商品を使っている人に、自分の疑問を質問できる」

これは、ユーザーにとって非常に大きな利点です。

コンタクトセンターのオペレーターよりも、他のユーザーの回答のほうが的確で早いことも、珍しくありません。

3-3. コミュニティを通じた企業・サービスへの愛着が顧客離反率を下げる

3つめのポイントは「コミュニティを通じた企業・サービスへの愛着が顧客離反率を下げる」です。

企業・ブランドは、“囲い込み”などと称して、顧客が離反しないためのあらゆる施策を行ってきました。

2023年現在の今、最も注目される施策は何か?といえば、「コミュニティを通じて企業・サービスに対しての愛着を作ること」といえるでしょう。

奇しくもコロナ禍によって、オンラインコミュニティに参加するユーザーが増え、コミュニティが一般化したことも寄与しています。

以前は、自社運営のコミュニティはメンバー募集に苦心することが多かったのですが、今は、ユーザーのほうからコミュニティを求める時代へ変遷しています。

3-4. 共創によるイノベーションが期待できる

4つめのポイントは「共創によるイノベーションが期待できる」です。

「企業とお客様」という関係性ではなく、「同じ価値観を共有する仲間」という関係性で、つながりを構築するブランドが増えています。

ユーザーコミュニティは、その新しいトレンドにもフィットしています。

ユーザーが自由に意見を出し、ブランドはユーザーの意見を参考にして、商品開発やリニューアルを行えるのです。

共創のプラットフォームとしてユーザーコミュニティを捉えれば、今までにないイノベーションが期待できます。

3-5. 競争上の優位性につながる

5つめのポイントは「競争上の優位性につながる」です。

ユーザーコミュニティは、ユーザーが企業と直接コンタクトを取れる場であり、ユーザー同士がつながれる場でもあります。

「良質なユーザーコミュニティを保有していること」が、競争上の優位性につながるといえます。

「コールセンターの電話対応がいい」「故障時のサポートが早い」のような、商品本体に付随するサービスの一環として、ユーザーコミュニティが定着すると考えられるからです。

「同じ商品を使っている人に質問しようと思ったのに、ユーザーコミュニティがない」
これが不満となる時代がやってくるでしょう。

となれば、早期にユーザーコミュニティへの取り組みを開始し、充実したコミュニティを築き上げていくことが、中長期的な価値拡大に貢献します。

4. ユーザーコミュニティの作り方

続いて、ユーザーコミュニティはどう作ればよいのか、見ていきましょう。

4-1. 実装は「コミュニティツール」

まず、多くの方が疑問に思う、「プラットフォームはどうやって用意するのか?」についてです。

イチから自社(また開発会社)で開発・構築する方法もありますが、主流となっているのは、コミュニティツールを利用するやり方です。

4-1-1. ツールを使えば立ち上げ自体は簡単

何らかの特別な事情がある場合を除き、コミュニティツールの利用が推奨されます。コスト・機能・運用面で利点が大きいためです。

コミュニティツールを使うと、管理画面から簡単にユーザーコミュニティを立ち上げられます。専門知識は不要です。

【コミュニティツールの管理画面イメージ】

4-1-2. 重要なのはツールの選定

4-1-2. 重要なのはツールの選定

コミュニティツールの選択肢は、複数あります。重要なのは「どのツールを選ぶか?」です。

ツールによって、使える機能や体験が変わってきます。

【参考:コミュニティツールと提供会社の価値観】

コミュニティツール名 提供会社の価値観
commmune(コミューン) コミューン株式会社(2018年設立)
Vision:企業とユーザーが融け合う社会を実現する
coorum(コーラム) 株式会社Asobica(2018年創業)
Mission:遊びのような熱狂で、世界を彩る
OSIRO(オシロ) オシロ株式会社(2017年設立)
Mission:日本を芸術文化大国にする
QON(クオン) クオン株式会社(1996年創業)
Vision:World Wide Communityを育てる
CRAYON(クレヨン) 株式会社クレヨン(2018年設立)
社名には「世界を色付ける道具」という想いが込められている

この後に紹介する企画のプロセスと照らし合わせがら、目指すコミュニティにフィットするツールを見極めていきましょう。

ツール選定の基準など詳細は「コミュニティツール」にて、解説しています

4-2. 企画は「4つのフレームワーク」

続いて「企画」の話に移りましょう。

前提として、コミュニティ施策も他のマーケティング施策も、基本的な考え方は変わりません。

【施策の基本的な考え方】

  1. 目的を明確化する
  2. 対象となるユーザーを明確化する
  3. 目的・対象ユーザーに対して最適な戦略を選択する
  4. 戦略を十分に実現する戦術(詳細プラン)を策定する
  5. スケジュールと担当者を確定して実行する

一方、「もう少しユーザーコミュニティに特化した進め方を知りたい」という方のために、アドテクノロジー企業でコンテンツプランナーを務める大塚勇さんによる図をご紹介します。

【コミュニティ企画のフレームワーク】

出典:広告事業を「コミュニティ施策」で伸ばす。デザイナー・営業出身のプランナーが語る企画術

大事なのは、上図の「順番を間違えないこと」だといいます。以下は大塚さんのお話からの引用です。

大事なことは、この順番を間違えないことです。最初にKPIやゴール設計をする「仕込み」があって、その次にユーザーの質を担保する「仕分け」がある。そして「仕切り」によってコンテンツの質を担保して、最後におまけとして「仕掛け」が企画を加速させるというのが重要です。

私も経験があるのですが、「仕掛け」から考えてしまうと文脈やストーリーがなくなってしまうので上手くいかないことがほとんどです。ここを気を付けることで、どのようなコミュニティでも上手くいきやすくなると考えています。

詳しくは「広告事業を「コミュニティ施策」で伸ばす。デザイナー・営業出身のプランナーが語る企画術」にて、ご確認ください。

以下のトピックについても触れられており、実践のヒントが得られます。

・日本はコミュニティ施策を設計しやすい説
・ユーザーコミュニティ立ち上げ時に現場が握っておくべきこと
・新たにコミュニティを立ち上げるなら「チーム」がポイント

5. ユーザーコミュニティを成功させる3つのコツ

最後に、ユーザーコミュニティを成功させるコツをお伝えします。

  1. ユーザーにとって“ためになる”コミュニティを目指す
  2. 商品・サービスを通じた「体験価値」にフォーカスする
  3. コミュニティマネジメントの専門家のサポートを受ける

5-1. ユーザーにとって“ためになる”コミュニティを目指す

1つめは「ユーザーにとって“ためになる”コミュニティを目指す」ことです。

ユーザーコミュニティの難しさは、「売上を上げること」をゴールとしてしまうと、うまくいかないところにあります。

「コミュニティ」の名のもとに売り込みを行うと、ユーザーは冷めてしまうからです。

まずは、“ユーザーのためになること”だけを考えて、以下を知るところからスタートしましょう。

【ユーザーコミュニティに着手する前に知るべきこと】

・ユーザーが、本当に困っていることは何
・ユーザーが、本当に喜ぶことは何か

ユーザーコミュニティは、収益を得るための施策というよりも、顧客サービスの一環として捉えたほうがうまくいきます。

5-2. 商品・サービスを通じた「体験価値」にフォーカスする

2つめは「商品・サービスを通じた体験価値にフォーカスする」ことです。

「自社商品の使い方や説明、愛用コメントではコミュニティがもたない」
と感じるかもしれません。

その場合、「ユーザーにとっての価値」を狭く取りすぎている可能性があります。

ユーザーコミュニティを作る際には、“商品・サービスそのもの”に限定するのではなく、商品・サービスを通じて、ユーザーが得ている(あるいは得たいと思っている)体験価値にフォーカスするのがコツです。

たとえば、「マットレス」のユーザーなら、「快適な睡眠」という体験価値を求めています。

マットレスの厚みや素材……といったトピックに終始するのではなく、「よりよい睡眠を取るために」というトピックが、喜ばれるはずです。

さらに、
「快適な睡眠を通じて得たい体験価値は何か?」
と考えることで、深度化できます。

【例:マットレスユーザーが求める体験価値】

・仕事のパフォーマンス向上
・不眠の悩みからの脱却
・腰痛の改善

上記のような共通の悩み・ニーズを持つユーザーの役に立ったり、ユーザー同士をつないだりするところに、コミュニティの存在意義があります。

5-3. コミュニティマネジメントの専門家のサポートを受ける

3つめは「コミュニティマネジメントの専門家のサポートを受ける」ことです。

ユーザーコミュニティは、立ち上げたら終わりではなく運用し続ける必要があります。

多くの企業は、コミュニティマネジメントの知見がありません。最初は、専門家のサポートを受けながら実行してください。

というのも、ユーザーコミュニティの運営にはリスクや注意点もあるからです。

【ユーザーコミュニティの注意点】

・悪質な投稿・コメント(誹謗中傷、差別発言など)を監視し、素早く適切に対応する必要がある
・コミュニティの雰囲気がポジティブに保たれるように、運営者がマネジメントしなければならない
・プライバシーや著作権、その他法的な知識と配慮が必要となる

具体的には、サポート体制の手厚いコミュニティツールを選定することで上記のフォローアップを受けられます。

※弊社がご提供する「commmune(コミューン)」は、経験豊富な担当者が多数在籍しています。ご相談だけでも、お気軽にご連絡ください。

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6. まとめ

本記事では「ユーザーコミュニティ」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

近年のユーザーコミュニティ事例として、以下の3つをご紹介しました。

1.食品】BASE FOOD Labo
2.【家電】ホットクック部
3.【サブスク】TEAM Tarzan

企業がユーザーコミュニティに取り組むメリットとして、5つ、挙げられます。

1.広告宣伝とは異なる角度からアプローチできる
2.顧客が抱える多様な課題の解決ツールとして機能する
3.コミュニティを通じた企業・サービスへの愛着が顧客離反率を下げる
4.共創によるイノベーションが期待できる
5.競争上の優位性につながる

ユーザーコミュニティの作り方として、以下のポイントをお伝えしました。

・実装は「コミュニティツール」で行う
・ツールを使えば立ち上げ自体は簡単
・重要なのはツールの選定
・企画は「4つのフレームワーク」で行う

ユーザーコミュニティを成功させる3つのコツは、次のとおりです。

1.ユーザーにとって“ためになる”コミュニティを目指す
2.商品・サービスを通じた「体験価値」にフォーカスする
3.コミュニティマネジメントの専門家のサポートを受ける

本記事でご紹介した以外にも、「導入事例」に、多くのユーザーコミュニティ事例が挙げられています。

これからコミュニティを立ち上げる方にとって、参考になる具体的なエピソードが掲載されていますので、よろしければ続けてご覧ください。

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