マーケティング関連の話題で、「コミュニティサイト」のキーワードを見かける機会が増えています。
コミュニティサイトとは、企業が、自社ブランドの顧客との対話や、顧客同士の交流を目的として構築するWebサイトを指します。
2020年代以降、コミュニティサイトを構築する企業は急増しています。
今、最もホットな話題のひとつです。
この記事では、コミュニティサイトの以下を解説します。
・コミュニティサイトとは何か、基本の知識
・導入検討の際に把握しておきたいメリットとデメリット
・作り方と運営のポイント
ご一読いだくと、コミュニティサイトの真の意義や、コミュニティサイト運用のポイントを把握できます。
自社の大切な顧客と、良好な関係を築く方法のひとつとして、お役立てください。
まず、そもそも「コミュニティサイト」とは何なのか、基本的な知識からご紹介します。
冒頭でも触れましたが、コミュニティサイトとは、企業・ブランドと、その顧客であるユーザー、あるいはユーザー同士の交流・対話を目的としたサイトのことです。
多くの場合、会員制として運営されます。
コミュニティサイトが持つ機能はサイトによってさまざまです。企業の社員やスタッフとの交流、会員限定イベント、あるいはSNSのようにユーザー同士が会話できるトークルームなどがあります。
実際のコミュニティサイトをひとつ、ご紹介します。
『テレ東ファン支局』にアクセスしてみてください。
出典:テレ東ファン支局
テレ東ファン支局は、テレビ東京ファンのための無料会員制コミュニティサイトです。
トップページには、こんなテキストが掲載されています。
・支局員限定の「ココだけの話」や「イベント」を楽しめます!
あのプロデューサーの素顔やあの番組の舞台裏など、会員(支局員)限定だからこそお伝えできる情報がたくさん。支局員からの「あんなこと知りたい」「こんなこと聞きたい」というリクエストにもお答えしちゃいます。(略)
・テレ東スタッフも支局員と一緒になって楽しんじゃいます!
コミュニティには、たくさんのテレ東スタッフも参加しています。 支局員であるファンのみなさんと、あれやこれやといろんなことにチャレンジできればと思っています。スタッフともたくさん交流してください。(略)
・テレ東ファン同士でゆるくもマニアックにも盛り上がれます!
テレ東が大好きという奇特な方々が参加するコミュニティです。あたたかい目でテレ東を見守っていただき、一緒に盛り上がってもらえると嬉しいです。ゆるいのもマニアックなのもテレ東っぽい。そんなコミュニティにしていきたいです。(略)
上記のテキストを引用したのは、「コミュニティサイトとは何か?」の特性が、散りばめられているからです。
具体的に定義するなら、コミュニティサイトとは以下を満たすサイト、といえるでしょう。
・顧客にとってうれしいコンテンツやイベントが、限定で提供される
・企業・ブランドと顧客がつながって、交流する
・顧客同士もつながって、交流する
さらに大局的な視点から、コミュニティサイトの目的をご紹介します。
前述の『テレ東ファン支局』がスタートしたのは、2021年10月のことです。
2020年代以降、『テレ東ファン支局』のようにコミュニティサイトを立ち上げる企業やブランドが急増しています。
その背景として理解しておきたいのが、コミュニティサイトの目的(存在意義)です。
一言でいえば、コミュニティサイトとは「ファンを作る場所」。
ここでいう「ファン」とは、アイドルやスポーツチームなどのファン、という狭義の意味ではありません。
顧客の心理的な愛着心や、信頼の形成に重点を置き、顧客のファン化を目指す「顧客ロイヤルティ重視型マーケティング」の潮流にある概念です。
重要なポイントなので、もう少し深掘りして解説します。
2010年代以降のマーケティング界では、以下がホットワードとして注目されてきました。
・顧客ロイヤルティ(顧客の忠誠心、愛着や信頼の感情) ・エンゲージメント(顧客との信頼関係・親密度)
・CRM(リレーションシップマネジメント、顧客関係管理)
・カスタマーリテンション(顧客維持)
・ファンマーケティング(顧客のファン化)
これらは個別の概念ではありません。
「LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の向上」という、根底で共通する考え方があります。
別の言い方をすれば、マーケティングの潮目は、
「新規顧客を獲得しているだけではビジネスが成り立たない時代に突入し、既存顧客をいかに維持・拡大して、一人ひとりの顧客と長く良好な関係を続けられるか?」
……という戦いに変わった、ということです。
カギを握るのが、顧客ロイヤルティを醸成して顧客をファン化すること。
ファン化の手段として必要なのが「コミュニティサイト」という構造です。
※ファンマーケティングについて詳しく知りたい方向けの情報は、別記事の「ファンマーケティングとは?基本から実践の最重要ポイントまで解説」にてまとめています。
ここで、
「顧客のファン化が重要なのはわかったけれど、なぜ、コミュニティサイトでそれができるのか?」
という疑問を抱いた方もいるでしょう。
そのカギは、ユーザーがファンになるまでのステップにあります。
『ファンベース』の著者・佐藤尚之氏は、ファン化のプロセスを、[共感]→[愛着]→[信頼]→[熱狂・無二・応援]の4ステップで提唱しています。
実現のステップとあわせて図解すると、以下のとおりです。
詳しくは後ほど「4. コミュニティサイトの作り方 4ステップ」にて解説しますが、コミュニティサイトは、ファン化プロセスを網羅的に実行できる場として、機能します。
ここで、よくある質問「SNSとコミュニティサイトの違い」について補足します。
「うちの会社は、SNSでアカウントを運用しているから、コミュニティサイトは不要なのではないか」
あるいは、
「コミュニティサイトを構築したら、SNS運用は停止してよいのか」
と、迷われる方も多いようです。
答えは、
「SNSとコミュニティサイトは、役割が異なるため、どちらも必要」
となります。
上図のように、コミュニティサイト内で密なつながりを醸成しつつ、外に向かって拡散するためにSNSを活用する、というイメージです。
SNSとコミュニティの違いについてより詳しく知りたい方は、
こちらの資料もあわせてご覧ください。
マーケティング担当者の方から、
「コミュニティサイトに興味があるけれど、具体的にどんなメリットがあるのか、把握しづらい」
という声を聞くことがあります。
ここでは、コミュニティサイトを企業が運営するメリットを、4つの視点からご紹介します。
- 自社や自社ブランドのファン顧客を増やせる
- UGCが有益なコンテンツとして機能する
- ユーザーリサーチの場として無類の価値がある
- CX(カスタマーエクスペリエンス*)を向上させながらカスタマーサポートのコストを削減できる
※CXについて、詳しくは「カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?」もご覧ください。
1つめのメリットは「自社や自社ブランドのファン顧客を増やせる」です。
このポイントは、先ほど「1-4. コミュニティサイトで顧客がファン化する理由」にてご紹介したとおりです。
もう少し掘り下げて、「エンゲージメント(企業と顧客の親密度や信頼度)」の観点から見ると、コミュティサイトは、次の2つのポイントでエンゲージメントを高めます。
ユーザー同士での双方向コミュニケーションは、以下の点でエンゲージメントを高めます。
・同じ立場だからこそ、そのブランドを好きな気持ちや共通する悩みなどを分かち合える情緒的価値
・使用方法の不明点や使用中のトラブルなど、ユーザーならではの情報交換ができる実用的価値
・ほかのユーザーのサポートなどを通して得られる、自分もブランドの一員として参加しているという帰属感
コミュニティサイトでは、企業・ブランドも、ユーザーと双方向のコミュニケーションを取ります。
たとえば、先にご紹介したテレ東のコミュニティサイトでは、
「テレ東スタッフも支局員と一緒になって楽しんじゃいます!」
と宣言されているとおり、距離の近さが魅力です。
近い距離感での双方向コミュニケーションは、以下の点でエンゲージメントを高めます。
・企業に対する親しみやすさや、自分の意見を受け止めてもらえた実感が強まる
・自分も一緒にブランドを育てていると感じ、共創感を得られる
※コミュニティとエンゲージメントの関係性を深掘りして学びたい方は、「コミュニティがエンゲージメントを高める2つの理由 インタラクティブなコミュニケーションがLTVを伸ばす」もご覧ください。
2つめのメリットは「UGCが有益なコンテンツとして機能する」です。
UGCは“User Generated Contents”の略で「ユーザー生成コンテンツ」のことです。
近年、従来の広告宣伝ではなく、ユーザーにとって価値あるコンテンツを媒介として良質な顧客接点を作る手法(コンテンツマーケティング)を実践する企業が増えました。
たとえば、社内の担当者が更新するブログなど、オウンドメディアを運営されている企業は多いでしょう。
一方、UGCもコンテンツマーケティングにおいて重要な役割を担うコンテンツです。
たとえば、ブランドのファン顧客によって書かれた愛用コメントや、思わずやってみたくなるユニークな使い方は、貴重なUGCです。
新たな顧客の獲得の機会となったり、まだファン度が低い顧客のファン化を促進したりします。
3つめのメリットは「ユーザーリサーチの場として無類の価値がある」です。
コミュニティサイトは、自社にとって重要度の高い顧客たちの、生の声の宝庫となります。
リアルタイムに、深いインサイトを得られるユーザーリサーチの場として、これ以上のものはありません。
日本ではあまり知られていませんが、米国では「MROC(Market Research Online Community:マーケットリサーチ・オンラインコミュニティ)」というリサーチ手法が定着しています。
「リサーチを行うために、オンラインコミュニティを立ち上げる」
というアプローチがあるほど、コミュニティはリサーチに有用なのです。
詳しくは、別記事の「コミュニティがユーザーリサーチに最適な3つの理由 リアルタイムで深いインサイトを取得したい方必見!」にまとめています。
4つめのメリットは「CXを向上させながらカスタマーサポートのコストを削減できる」です。
コミュニティサイトは、ユーザー同士の助け合いの場として機能します。
ユーザー視点で見ると、自分が困っていることの解決策を、状況をよく理解してくれる仲間から的確に教えてもらえるので、CXの向上につながります。
一方、企業視点で見ると、カスタマーサポートのコストを削減できます。企業とユーザーの双方にとって、メリットがあります。
一方で、コミュニティサイトにはデメリットもあります。思わぬ失敗を回避するために、あらかじめ把握しておきましょう。
・短期的な収益には直結しない
・構築や運営の難しさがある
それぞれ解説します。
1つめのデメリットは「短期的な収益には直結しない」です。
先にも述べたとおり、コミュニティサイトが数値的なビジネス成果として効いてくるのは、「LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)」に対してです。
短期的な売上アップを期待してコミュニティサイト施策を進めた場合、次の2つの問題が起きます。
・短期的な結果が出ないため、社内の理解が得られず、途中で挫折する
・結果を求めてセールス色が強くなり、ユーザーに敬遠される
じつは、これらはコミュニティサイトで、最も多く見られる失敗です。
コミュニティサイトは、ユーザーと対話を通じて、良好な関係づくりをする中長期的施策です。
コミュニティサイトに期待する成果も、中長期的に設定する必要があります。
2つめのデメリットは「構築や運営の難しさがある」です。
よいコミュニティサイトを作れたら、中長期的に見れば、その効果は絶大です。企業・ブランドに与える収益的なインパクトも、大きくなります。
しかし、よいコミュニティサイトを作って運営するのは、難易度が高い、という現実があります。
その理由は、ほかのマーケティング施策に比較すると歴史が浅く、まだノウハウが体系化されていないことや、企業・ブランドによって作るべきコミュニティサイトが多種多様で、テンプレ通りにはいかないことが挙げられます。
コミュニティサイトを構築しても、「コミュニティが盛り上がらずに、閉鎖した」というケースは少なくありません。
実際に運営してみると、以下のような事態に陥ることがあります。
・ユーザーが何を発言していいのかわからず、会話が発展しない
・いつも一部のユーザーしか発言していない
・企業が利益目的の企画を持ち込んだ結果、ユーザーがしらけてしまう
コミュニティサイトを適切に構築し、運営するためには、十分なリソースを確保すること、および責任者と担当者がコミュニティサイトの意義を理解して、実現にコミットする必要があります。
コミュニティのメリット・デメリットの両面がわかり、次に、自社で取り入れるべきか検討したいという方へ。
こちらの資料では、どんな企業が取り入れるべきかチェックシート付きで解説します!
続いて、コミュニティサイトの作り方を、4ステップでご紹介します。
- 目的とKPIを明確にする
- どんなコミュニティサイトを作るか戦略を立てる
- プラットフォームを選定する
- ベンダーと協業してサイトを構築する
ひとつずつ見ていきましょう。
1つめのステップは「目的とKPIを明確にする」です。
失敗するコミュニティサイトに共通するのは、「コミュニティの目的が定まっていない」ことです。
「流行っているみたいなので、作ってみた」
「とりあえず始めれば、盛り上がって売上になるだろう」
このように、目的・ゴールが定まっていない状態では、コミュニティサイトは迷走しやすくなります。
コミュニティの目的およびKPIを決め、明文化してチーム内で共有しましょう。
具体的な目的やKPIは、企業・ブランドによって異なりますが、コミュニティに期待される役割は、大きく以下の4つに分けられます。
- ユーザー間での知見共有によるカスタマーサポートコストの効率化
- 顧客ロイヤルティやLTVの向上
- 新規顧客獲得に向けた新しい訴求チャネルとしての位置づけ
- リサーチ/ユーザーインサイトの取得
これらをヒントにしつつ、自社の状況や課題に合わせた目的・KPIを設定してください。
2つめのステップは「どんなコミュニティサイトを作るか戦略を立てる」です。
ここでは、企画の際に押さえたい4つのポイントをご紹介します。
“コミュニティサイトとは、ファンを作る場所”と述べましたが、熱狂的なファンを生み出すための戦略は、常に「コアバリュー(価値観)」からスタートします。
ここでいうコアバリューとは、意志決定や、顧客や社会との関係、課題解決の指針となる、理想像や倫理観のことを指します。
・最優先事項は何か?
・深く抱いている信念は何か?
・どんな思いを原動力として行動するのか?
・コミュニティに参加する顧客たちとともに実現したい世界はどんな世界か?
自社あるいは自社ブランドのコアバリューについて、時間をかけて、じっくりと考えてみてください。
ほかのコミュニティサイトよりも盛り上がる、優れたコミュニティサイトを構築するための方法は、究極的にはひとつしかありません。
「ほかのコミュニティサイトよりも深く、ユーザー(自社の顧客)を理解すること」
です。
・ユーザーが、居場所としているのはどこか?
・何を話しているのか?
・どんな体験をしているのか?
・何が好きで、何が嫌いなのか?
・どんな価値観を持っているのか?
・自社ブランドや商品・サービスの何に価値を感じているのか?
・どんなことに悩み、どんな人生を歩みたいと願っているのか?
自社のユーザーについて質問されたら、どんな質問でも、スラスラと答えが出てくるほど、すべてを理解するように努めます。
ユーザー理解に全力を尽くすことができたら、コミュニティサイト構築の8割は成功が約束されるといっても、過言ではありません。
深いユーザー理解を源泉として、具体的なコミュニティの構想を練りましょう。
まずは、競合他社の動向などに影響されず、“自社のユーザーにとってのベスト”に集中して、柔軟にアイデアを出していきます。
それは、この世にまだ存在しない、イノベーティブな構想になるかもしれません。あるいは逆に、すでになじみ深く保守的な(一見、ありきたりの)サイトが最善という結論となるかもしれません。
どんな選択であっても、「自社のユーザーにとってベスト」であれば、それが最も正しい答えとなります。
「アイデアのネタを幅広く集めたい」というときは、事例を見ることが役立ちます。
株式会社finalが展開する、自分だけの音を作るイヤホンシリーズ「MAKE」を存分に楽しむためのコミュニティサイト「MAKER'S」。
「MAKER'S」は、イヤホンシリーズ「MAKE」に関するあれこれを自由に投稿でき、MAKER(MAKEユーザー)同士で交流をしながらMAKEをもっと楽しむことができるコミュニティサイトです。
音楽好きが集うコミュニティはたくさんありますが、関心は人それぞれ異なります。
その点、コミュニティサイト「MAKER'S」では、MAKEに関心がある人同士で、好きなアーティストの楽曲とMAKEを組み合わせた時の聴こえ方や、自分だけのこだわりチューニングといった話についても熱く語ることができます。
▼ MAKER'S
1927年創業の椿油専門メーカー「大島椿」が運営する、同社製品を利用している方が参加できるオンラインコミュニティ「大島椿ファンプログラム」。
プログラムの参加 = コミュニティサイトへの登録、となっています。
「大島椿ファンプログラム」に参加しているユーザーは、製品について思っていることを投稿できたり、悩みや相談したいことがあれば他のユーザーやスタッフに相談することができます。
また、商品などのモニター体験やファン限定のイベントへの招待など、コミュニティサイト上では完結しない特典もあります。
モニター体験は「自分の意見を企業が尊重してくれる」という信頼につながったり、ファン限定のイベントは、イベント参加を通じた満足度そのものや、「企業・ブランドにとって自分は特別な顧客であること」といった感覚が、そのままブランドへの満足度向上にも貢献するでしょう。
▼ 大島椿 ファンプログラム
出典:椿油専門メーカー大島椿 ファンプログラム メンバー募集中!
以下に事例集へのリンクをご紹介します。
▼ 事例集のリンク
最後に4つめのポイントですが、データ連携や抽出方法については、早期から検討を始めましょう。
経営・営業・マーケティング部門だけでなく、システム、リサーチ、カスタマーサポート、R&D(研究開発)などの担当者も、早めに巻き込んでいくことが重要です。
コミュニティから得られるデータを、組織全体としてどう活用していきたいのか、大局観をもって設計することで、コミュニティサイトの力を最大限に活かせます。
▼ コミュニティサイトから得られるデータの活用例
・マーケティング施策のプランニング
・カスタマーサポートの品質改善
・商品企画・開発
・製品管理
社内のさまざまなステークホルダーのニーズに合わせて、適切なデータ提供ができるよう、検討していきます。
3つめのステップは「プラットフォームを選定する」です。
コミュニティサイトの構築は、専用プラットフォームを提供するベンダーを選定して導入するのが一般的な進め方です。
▼ 主要なプラットフォーム
名称 | おもな対象 | 特徴 |
---|---|---|
commmune(コミューン) | 企業・ブランド | 成功するコミュニティ構築に必要な機能がそろった多機能タイプ |
coorum(コーラム) | 企業・ブランド | カスタマイズ性と分析機能の高さに定評がある |
CAMPFIRE(キャンプファイア)コミュニティ | インフルエンサー・クリエイター・企業 | クラウドファンディングと連携 |
この段階では、数社のベンダーから資料を取り寄せたり、問い合わせて詳しい話を聞いたりして、情報収集を行います。
選定のポイントとしては、以下が挙げられます。
・信頼性があるか?(導入実績の十分さや受賞アワードをチェックする)
・「コミュニティサイトはユーザー理解が最重要」という価値観を共有できるベンダーか?
・ノーコード(ソースを書く必要なく開発できる)か?
・コミュニティ運営やマーケティングに関する知見があり、相談できる相手か?
・実際にデモ画面を触ってみて、自社のユーザーに合っていると感じられるか?
・費用的な予算感が合っているか?(料金は各ベンダーに要問い合わせ)
4つめのステップは「ベンダーと協業してサイトを構築する」です。
参考までに『commmune(コミューン)』の場合、リリースまでの流れは上記のとおりです。
キックオフからローンチまでのリードタイムの目安は、およそ8週間となります。
コミュニティサイトは、ローンチがゴールではありません。そこから、長い旅が始まります。
最後に、コミュニティ運営のポイントをお伝えしましょう。
・初期メンバーの選定
・オンボーディングは力の入れどころ
・ガイドラインのブラッシュアップ
まず非常に重要となるのが「初期メンバーの選定」です。
コミュニティがどんな方向に向かっていくのか、方向性を決定づけるのが、「最初に、その居場所に根付いた人たち」になります。
最初から一般公開でメンバーを応募するのは、おすすめできません。最も重要な初期メンバーが、運任せになってしまうからです。
ローンチ時点では、ロイヤルティの高いユーザーだけを招待し、厳選メンバーによってコミュニティサイトをスタートしましょう。
顧客の顔が見えているBtoBビジネスであれば、初期メンバーの選定もしやすいはずです。直接、コミュニティサイトの意図を伝え、協力を依頼しましょう。
顧客の顔が見えないBtoB・BtoCビジネスの場合、メンバー選定の前準備として、SNSアカウントと顧客データのひも付けができるキャンペーンを実施するのも、良策です。
メンバーのSNS上での振る舞い(TwitterでのツイートやInstagramの投稿)を確認できれば、選定の際に参考になります。
初期メンバーでスタートし、一般メンバーの加入も進めていくオンボーディングのプロセスは、コミュニティサイトで最も力を入れるべきタイミングです。
企業側の担当者は、積極的に深く関与していく必要があります。最も時間を投資すべき時期といってよいでしょう。
こんなことが起きないように、注意深く、コミュニティの場の雰囲気をコントロールしていきます。
・ユーザーが何を発言していいのかわからず、会話が少なくなってしまう
・いつも一部のユーザーしか発言していない
・新規ユーザーが敬遠しそうな内輪ネタやネガティブなトピックが増えてきた
・一部のユーザーが攻撃されている
注意点として、コミュニティのハンドリングは、多くの企業担当者にとって初体験であり、特有の難しさがあります。
ここでつまずくリスクをあらかじめ見据えて、頼りがいあるサポートを得られるベンダーを選定しておくことも重要です。
コミュニティサイトでは、古参のメンバーによって、独自ルールやマナーが発達する傾向があります。
たとえば、Twitterの「FF外から失礼します」やInstagramの「無言フォローすみません」などがそうです。
参加者が楽しめるポジティブなものであれば問題ありませんが、行き過ぎれば、新規メンバーの参加欲を削いでしまいます。
そこで、コミュニティ内に暗黙の了解が増えないよう、ルールを明文化したガイドラインを策定する必要があります。
ガイドラインの草案は、プラットフォームのベンダーに相談しながら、他社がよく利用している一般的な内容でスタートすることが多いでしょう。最初は、それで問題ありません。
重要なのはローンチ後で、コミュニティの動向を見極めながら、ガイドラインを洗練させていく必要があります。
新しいメンバーも既存のメンバーも、
「ガイドラインさえ見ておけば、安心してコミュニティに溶け込める」
という状態を目指して、ガイドラインをブラッシュアップし続けましょう。
コミュニティサイトは、ローンチしてから長い旅が始まると言ったとおり、成果が出るまでには様々な難しさがあります。詳しくは「コミュニティ運営のよくある失敗と気をつけるべきポイント」もご覧ください。
本記事では「コミュニティサイト」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。
コミュニティサイトの基本として押さえたいポイントは次のとおりです。
・コミュニティサイトとは企業と顧客・顧客同士の交流を目的とした場
・コミュニティサイトは「ファン」を作る場所である
・現代のマーケティングにはファン獲得・維持拡大が不可欠
コミュニティサイトのメリットとして、以下が挙げられます。
・自社や自社ブランドのファン顧客を増やせる
・UGCが有益なコンテンツとして機能する
・ユーザーリサーチの場として無類の価値がある
・CXを向上させながらカスタマーサポートのコストを削減できる
一方、コミュニティサイトにはデメリットもあります。
・短期的な収益には直結しない
・構築や運営の難しさがある
コミュニティサイトの作り方を4ステップでご紹介しました。
・目的とKPIを明確にする
・どんなコミュニティサイトを作るか戦略を立てる
・(コアバリューを明確にする/ユーザーを深く理解する/コミュニティサイトの構想を練る/データ連携について検討する)
・プラットフォームを選定する
・ベンダーと協業してサイトを構築する
コミュニティサイト運営のポイントは、以下のとおりです。
・初期メンバーの選定
・オンボーディングは力の入れどころ
・ガイドラインのブラッシュアップ
コミュニティサイトを構築して運営していくには、労力がかかります。しかしながら、その労力に対して余りある貴重な体験や価値を、得ることができるでしょう。
ぜひ導入に向けて、準備を進めていただければと思います。
・・・
私たちは、コミュニティサクセスプラットフォーム「commmune(コミューン)」を通じて、企業のコミュニティサイトにおける企画・構築・運用を一気通貫でサポートします。
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