テクノロジーが進化するスピードはますます早まっており、消費者の購買行動も加速度的に変化しています。また、新型コロナウイルス感染症拡大により「テレワーク」も一般的になり、働き方も大きく変化しました。各企業の営業活動はこのような情勢への対応を余儀なくされています。
こうした変化対応において、SFAは度々取り上げられる存在です。営業活動における情報を入力・共有することで適切な商談の機会を把握し、効果的・効率的な営業活動ができるようになる点が特徴です。
本記事では、SFAを0から理解できるよう、概要からMA・CRMとの違い、運用の注意点までわかりやすく解説します。
SFA(Sales Force Automation)とは、営業が商談を開始してから受注に至るまでの営業メンバーの行動や進捗状況を、可視化し管理するツールのことです。
直訳すると「営業部隊(Sales Force)の活動自動化(Automation)」になるように、元々は“営業を科学的に分析し支援する概念”を表す言葉でした。現在では、そのような概念を実現するツールを指す言葉として用いられています。
日本語では主に営業支援システムと呼ばれます。
SFAというツールの大きな目的は「営業業務を可視化する」ことです。
営業活動は、成果が個人(コネクションやスキル・経験)に依拠する部分が大きく、メンバー間でパフォーマンスの差が生まれやすいものです。また、顧客情報や案件の進捗状況などは個別に管理するのが一般的であるため、バックオフィス系など他の業務に比べ、それぞれの業務が見えづらいという特徴もあります。
こうした営業活動における属人化・ブラックボックス化を打破すべく開発されたのがSFAです。
SFA発祥の地であるアメリカでは人材が流動的で、セールスマンが転職するたびに重要な顧客情報が失われてしまうことが問題化していました。そこで、セールスマンの持つ顧客情報を企業の資産として管理しうまく引き継げるよう開発されたのがSFAです。
SFAを活用することで、営業活動が個人レベルまで可視化され進捗を詳細に把握できるため、抜けや漏れを防ぐことができます。また、繰り返し業務や定型業務を自動化できるので、効率化にもつながります。
加えて、データを蓄積しナレッジを共有・分析できるので、成果が上がる営業スタイルを標準化することができ、限られた人的リソースの中で、チームとしての成果を最大化することができるようになります。
SFAの機能を一言で言えば営業活動を一元管理することですが、ここではより詳しく3つに分けて説明します。
SFAには、社名や所在地、連絡先、担当者名といった基本的な情報から、担当者の属性、問い合わせ内容/取引履歴、購買意欲など、営業に関わる情報を一元管理し社内で共有できる機能があります。
例えば、営業担当者が不在のときに顧客から急な連絡が入った場合でも、SFAを参照することで、顧客にストレスを感じさせることなく対応できるでしょう。
また、営業担当者の異動や退職、担当変更などが起こった際、顧客情報がスムーズに引き継がれずトラブルに発展してしまうケースがありますが、このような場面でも、SFAで顧客管理を行なうことで、引き継ぎコストやトラブルのリスクを最小限に抑えられます。
SFAには、コール件数・コンタクト件数・アポイント件数・新規訪問件数・継続訪問件数・見積件数・受注数・受注単価・
一人ひとりの営業パーソンがどんな行動をしているか把握できるため、成績の良し悪しを軸に営業パーソンの行動を定量的に比較でき、差異や課題の特定に役立てることができます。また、人事評価の基準にも利用できるでしょう。
SFAには、案件の内容から課題、営業フェーズ、受注確度、見込み額、営業の行動履歴等を記録する機能があります。
案件ごとの状況を可視化できるため、チームでの連携やナレッジの共有ができるだけでなく、蓄積した情報をもとに営業担当者の行動を分析することもでき、組織としての営業力強化が図れます。
SFAと混同されやすいツールとしてMAとCRMがあります。
これらは、本来別々の目的を基に設計されたもので、アウトプットの仕方も異なります。しかし、マーケティングから営業に至るプロセスという大きなくくりの中で使われることから、近年では機能を兼ね備えた製品も増えており、その境界線は曖昧になってきております。例えば、「本来はSFAだけれども、CRM的な機能も備えている」といった具合です。
目的や機能といった観点から違いを比較してみます。
Marketing Automationの略で、「マーケティング活動を自動化する」ツールです。MAは、他の2つと比べて機能差が大きく、使用する部門も異なることから、比較的区別しやすいでしょう。
ツールの目的は、商談可能なホットリードを増やすことです。獲得したリードの購買意欲を高める
主な機能としては以下の通りです。
・見込み顧客情報の一元管理
・フォーム作成
・セグメントメール配信
・個人トラッキング
・Webコンテンツ作成
・見込み顧客スコアリング
・コンテンツのパーソナライズ
Sales Force Automationの略で、「営業業務を可視化する」ツールです。
ツールの目的は、商談成約率を最大化することです。営業担当者の活動を効率化・高精度化するために、「商談」「クロージング」「見積もり」といった「営業担当者の行動履歴」がメインの管理の対象となります。
主な機能としては以下の通りです。
・顧客情報の一元管理
・営業プロセス管理
・案件管理
・予実管理
・スケジュール管理
・タスク管理
・アラート
Customer Relationship Managementの略で、「顧客情報を一元管理する」ツールです。日本語では、「顧客関係管理」「顧客管理システム」と呼ばれます。
ツールの目的は、
CRMは医療現場におけるカルテのようなイメージで、顧客情報を細分化して記録しておくことに特徴があります。
SFAとの差異として、SFAは商談・案件を軸に情報を管理しますが、CRMは顧客ごとに情報を管理します。
主な機能としては以下の通りです。
・顧客情報の一元管理
・顧客分析、マーケティング支援
・プロモーション管理
・セミナー、イベント管理
・アンケートフォームなどによる満足度調査
・問い合わせサポート
確認した通り、それぞれのツールには目的や機能に違いがあり、それにより得意とする領域も異なります。
MA:リードの育成・選別プロセス
SFA:商談開始から購買・成約までのプロセス
CRM:既存顧客との関係維持・向上のプロセス
そのため、導入する際は、まず自社のどこに課題を感じているのか洗い出す必要があるでしょう。ツールを入れる目的を明確にすることで、自ずと最適なツールを選定できるはずです。
例えば、
・見込み顧客の購買意欲をうまく喚起できずアポイントや商談数が少ないならMA
・営業におけるリードタイムの長期化や一人一人の顧客担当数の増加により営業リソースの逼迫に悩んでいるならSFA
・リピーターが増えなかったり解約率が高かったりと
といった具合です。
SFAは、正しく使えば営業の生産性向上に寄与するツールです。しかし、その一方でSFAを導入してみたけれど、期待していたような売上増加の結果が得られず、むしろ営業の負担が増えてしまった、というようなケースも発生しうるものです。具体的にどのような場合が想定されるでしょうか。
SFAをきちんと活用するためには、顧客情報/訪問履歴/提案内容といった営業担当者の地道なデータ入力作業が必要になります。そのため、現場の社員がこうした作業にコミットできなければ、SFAの運用はうまく回らないでしょう。
営業のメインミッションは、売上を上げることです。そのため、多くの営業は、1件でも多くの顧客へ電話をかけたり提案書を書いたりすることに時間を費やしたく、入力・報告などの事務仕事にはできるだけ時間をかけたくないと考えているでしょう。
対して、経営層・管理者は、営業プロセスやプロダクト改善等にデータを活用したく、顧客情報を常に最新のものに更新しておいて欲しいと思うはずです。
このように、経営層と現場には温度差があることが一般的で、ツールを導入したもの肝心のデータが更新されずあまり効果を発揮しない、という事態は容易に起こり得ます。
特に「部長や役員が勝手にSFAの導入を決めた」という場合は、現場の意見との乖離が起きやすくなります。
ツールを導入する上で一番大切なのは、「どれだけ活用できるか」でしょう。ツール自体は魔法のアイテムではありません。いくら優れた製品を導入したとしても、運用が定着化しなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
SFAの本来持つ実力を発揮させるためには、データ入力・メンテナンス作業の手間が営業担当者にとって負担とならないような仕組み作りが必要になります。入力作業自体を評価軸のひとつにする、というのも一つの手でしょう。
ただ、最も本質的なのは、SFA活用のメリットやそれによるチームメンバーへの利益、さらには顧客にもたらされる価値を、現場がしっかりと理解することではないでしょうか。そうすれば、「これだけメリットが多いのだからしっかり使おう」という気持ちが自然と生まれるはずです。
いずれにせよ、ツールの検討段階から現場の意見を取り入れ、主としてツールを扱う立場の者が納得する形で導入することが重要です。
蓄積されたデータをどのように分析すべきか分からない、分析担当を担える人材がいない、といった理由から、SFAが単なる営業活動入力ツールに留まってしまっているケースもよく見受けられます。
しかし、SFAの価値は、営業業務の効率化や商談成約率の最大化といった目的に従い、溜められたデータを分析し実際の業務プロセスの改善に生かす点にあります。
本来SFA導入の目的は、売り上げ向上であるはずです。手段と目的が入れ替わり、単にデータを収集・蓄積するだけになってしまわないように注意しましょう。
このようにデータ分析に活用できない事態を避けるためには、以下のような手法が有効です。
・データ連携を実施する
ほかのシステムで蓄積・管理していたデータを活用することで、業務の効率性が上がります。情報共有のスピードも上がるため、判断の迅速化にも役立ちます。
また、それぞれのデータを統合することで、どの施策がどの程度貢献しているのか明らかになります。例えば、マーケティング施策にかかったコストと、SFAの売上データを比較すれば、各マーケティング施策のコストパフォーマンスがわかります。
・指標を適切に設定する
そもそもSFAにあまり意味のないデータが蓄積されているというケースもありますが、本来であれば、SFAに溜められるデータは全て利益向上に寄与するものにすべきでしょう。そのために必要なのが、中間目標となる指標です。この指標が、企業目標と現場におけるデータとの結節点になるのです。
指標を設定するポイントとして、何に集中すればよいか分かりやすくなるよう本当に必要なものだけを厳選する、という点が挙げられます。現場では何が必要なのかを明確にし、優先順位の高いものから指標として設定しましょう。
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SFAを使うことで定型業務を自動化できれば、より円滑な営業活動の実現につながります。
営業担当者が自発的にSFAを活用していくためには、営業現場で使いやすい仕様や機能を意識する必要があります。また、使う目的や自社の課題を明確にしなければ最大の効果は得られないでしょう。
SFA導入に当たっては、自社の課題を解決するためにどのような機能があればいいのか、どのようなものであれば現場で使いやすいのか、などさまざまな視点から考えるべきだと言えます。
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