様々な社会背景から新規顧客の獲得が難しくなり、既存顧客からの売上を安定 / 拡大させることの重要性が増す中、LTVが注目されています。
本記事では、LTVの定義や重要視される背景、計算方法、向上させるためのアプローチ例を解説します。
LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)とは、顧客生涯価値と訳され、一人あるいは一社の顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間に、どれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標です。
日本においては人口減や高齢化などの社会的要因により市場自体が縮小するにつれ、新規顧客の獲得は難しさを増してきており、この傾向は今後も続くことが予想されています。
従来の成長市場においてはビジネスを拡大するためのアプローチとして、新規顧客を獲得することが多くの場面で最適解とされてきました。そのため、新規顧客を獲得するために有効な単発のキャンペーン施策や刈り取り型の広告へ投資することが合理的となるケースが多くなっていました。
しかし近年になって市場が縮小するにつれ、次第に新規顧客の獲得効率が悪化してきています。その中で持続的にビジネスを拡大するためのアプローチとして重要視されるようになったのがLTVです。
LTVには様々な計算方法が存在しますが、ここではビジネスモデルを下記のように大きく2つに分けた上でそれぞれの計算方法をご紹介します。
①サブスクリプションモデル(定期的に売上が発生するモデル)の場合
②不定期に売上が発生するモデルの場合
LTVの計算式は、SaaSのようなサブスクリプションモデルのビジネスでは下記のように定義されます。
※
※
例えば、
LTVの計算式は、不定期に売上が発生するモデルでは下記のように定義されます。
LTV = 平均顧客単価 × 購買頻度 × 継続期間
例えば、平均顧客単価が30万円、購買頻度が1年に7回、継続期間3年の場合、LTV = 30万円 × 7 × 3 = 630万円と計算されます。
LTVは売上に関する指標ですが、ビジネスを安定 / 拡大させるためにはコスト面も正しく評価する必要があります。ここではコスト面を表す指標として
CAC = 顧客を獲得するために費やしたコスト ÷ 顧客獲得数
コストには広告費用やセールス / マーケティングの人件費など、顧客獲得に費やしたすべてが含まれます。
Unit Economics(ユニットエコノミクス)は主にSaaSなどのサブスクリプション型のビジネスにおいて使用される、事業の健全性を示す指標です。計算方法は下記のように定義されます。
Unit Economics = LTV ÷
CAC
事業のフェーズなどにもよりますが、概ねUnit Economicsが3以上になっていれば事業として健全であると評価されます。
利益を最大化するためには、LTVを最大化すると同時に
平均顧客単価を上げる
平均顧客単価を上げられればLTVは向上します。顧客単価を上げるための取り組みとしては
既存の取引がある顧客に対して、より上位の商材やサービスを紹介し乗り換えてもらうことを
既存の取引がある顧客に対して、導入済みの商材やサービスとの関連性が高い商材を追加導入してもらうことを
この方法を実践している企業でお手本とも言えるのがAppleです。iPhone、MacBook、iPad、AirPods、Apple Watchなど、様々な製品が用意されています。製品間の拡張性 / 利便性の高さやブランドの魅力に惹かれて、身の回りをApple製品で固めているという人も多いのではないでしょうか。
購買頻度を高める
購買頻度を高めることによってもLTVは向上します。購買頻度を高めるために有効な取り組みとしてはリテンション施策が挙げられます。具体的にはメールマガジンやSNSによる発信はもちろん、ユーザーコミュニティを通じて既存顧客と双方向に交流することが有効です。ユーザーコミュニティを活用したマーケティング手法は、コミュニティマーケティングと呼ばれています。
契約期間を延ばす
継続期間を延ばすことによってもLTVは向上します。「
上位2割の既存顧客によって全体の8割の売上が生まれるという法則です。ビジネスを拡大する上で新規顧客を増やすことはもちろん重要ですが、同時に既存顧客と長く取引を続けるための取り組みをすることで、効率良く収益を上げることができると言えます。
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「1:5の法則」「5:25の法則」とは?メカニズムから実用の注意点まで徹底解説!- 0からわかるカスタマーサクセス用語集
◆カスタマーサクセス
業種を問わず、既存顧客に対して様々な支援を行うカスタマーサクセスという役割が重要性を増してきています。カスタマーサクセス施策を通しビジネスを拡大するという視点で意識したいのは利益率ですが、そのためには顧客ごとに濃淡をつけた上で施策を進めることが重要となります。
下記の記事では、既存顧客をLTVの観点から3つのセグメントに分類した上で、それぞれのセグメントに対して有効なアプローチをまとめています。
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コミュニティタッチとは?カスタマーサクセスを実現するハイタッチ、ロータッチ、テックタッチを横断する「4つ目のタッチ」
広告費用を適正化する
◆CPAを圧縮する
CPA(Cost Per Acquisition:コストパーアクイジション)とは、
CPA = 広告費用 ÷ コンバージョン数
CPAを圧縮することで、予算内でより多くのコンバージョンを獲得できるようになります。
◆オーガニックチャネルを強化する
広告費用を適正化するためには、CPA圧縮と並行してオーガニック(非広告)チャネルでのコンバージョン獲得施策を進めることも重要です。オーガニックは広告と比較すると即効性に欠けますが、広告費用がかからないというメリットがあります。長い目で見るとやっておくべき施策と言えるでしょう。
◆広告費用自体を削減する
CPAが圧縮でき、オーガニックチャネルも育ってくると、いよいよ広告費用自体を削減することも選択肢に入ってきます。広告費用はコスト全体に占める割合が大きい場合が多いため、広告費用を削減することで
セールス / マーケティングリソースの最適化
セールス / マーケティングリソースを最適化し人件費を圧縮することによっても
◆
従来は各営業がそれぞれに担当顧客を持ち属人的に対応するスタイルが主流でしたが、これは組織全体の営業効率の観点で望ましい状態ではありませんでした。
具体的には顧客への対応漏れ / 遅延が発生したり、属人化している案件に対してマネージャーが適切なマネジメントやサポートを行えないがために、本来であれば受注し得たはずの案件が受注できないというような機会損失が発生しやすい構造になっていたのです。
今回は、これからの時代に意識すべき指標としてLTVをご紹介しました。
今後、新規顧客の獲得がますます難しくなっていき、既存顧客からの売上を安定 / 拡大させることの重要性が増していきます。そのために有効な施策「コミュニティマーケティング」の実施をサポートするため、弊社ではコミュニティサクセスプラットフォーム"commmune”を提供しております。
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