※2020年6月3日に開催したオンライン対談イベント「Withコロナ時代の顧客接点とは? 〜ABEJA 丸田氏×コミューン高田 徹底討論 〜」の一部を記事化したものです。
第1部:ABEJAのカスタマーサクセス全体像編 ←イマココ
第2部:コミュニティ施策の失敗と学び編
第3部:コロナ後のオンライン顧客接点編
第4部:コミュニティのROIとは?編
登壇者情報
株式会社ABEJA 丸田絃心さん(以下、丸田):皆さんこんにちは。株式会社ABEJAの丸田と申します。もともとは金融系、広告代理店起業、そして人材/組織コンサルを経て、ABEJAにカスタマーサクセスとして入社しました。
カスタマーサクセス職自体は2年程度ですが、個人で「CSカレッジ」というカスタマーサクセスを普及していくコミュニティの運営もしています。
コミューン株式会社 CEO 高田優哉(以下、高田):皆さんこんばんは。コミューン株式会社の高田と申します。
我々も普段コミュニティ施策に取り組む中ですごく悩むのが、全体戦略の中でのコミュニティの役割です。
今日はその分野の先駆者である丸田さんに、皆さんの代わりとして色々突っ込ませて頂ければと思っています。よろしくお願いします。
コミューン株式会社 COO 橋本翔太(以下、橋本):では丸田さん、ABEJAはどういう会社で何をしているのか、というのをご説明頂ければと思います。
丸田:一言でいうと、AI・IoT・ビッグデータといった最先端のテクノロジーを使ってイノベーションを起こしていこうという会社です。
中でも小売向けのサービス「ABEJA Insight for Retail」が全体において大きな位置づけを占めています。
小売店舗向けのGoogle Analyticsのようなものです。
店舗にカメラやセンサーを設置すると、お客様の行動を可視化できるようになります。お客様の行動と実際のPOSデータと突合も可能になります。データ分析を通じてリアル店舗の売上を上げていこう、というマーケティングの分析ツールですね。
橋本:ABEJAにおけるカスタマーサクセスについて、過去からの展開も含めて現在やっていることをお話いただけますか。
丸田:一言でいうと、お客様が成し遂げたい目標を達成する、そのためにツールをいかに活用頂くかの支援をすることです。
取り組みはいろいろありますが、大きくこの3つです。
1. データ活用支援
一番左のデータ活用支援はハイタッチの取り組みです。データをどのように使えばより成果が出せるか、という点を手厚くサポートしています。
ハイタッチ :個別の対応で、社員自らが動くことでフレキシブルな対応
ただ、必ずしもすべてのお客さんにハイタッチの支援をできるわけではありません。そこで、残り2つのワークショップやコミュニティをやっています。
2. ワークショップ
次のワークショップはビジネス研修に近いです。よりサービスの活用度を高めたいお客様を対象に、こちらが設計した研修・ディスカッションの場を提供しています。
3.コミュニティ
コミュニティでは、お客様同士の情報交換を通じた課題解決を目的としています。そこから良い口コミがうまれて、サービス活用のきっかけになっています。企業側から何かを教えるみたいなことはないですね。
その他テックタッチの情報提供も行っています。
テックタッチ: テクノロジーを使うことでより広範囲に対して同時に対応すること
- ▼テックタッチについては、こちらの記事で詳しく解説しています
カスタマーサクセスを実現するハイタッチ、ロータッチ、テックタッチを横断する「4つ目のタッチ」
ABEJAが得意とする「データ分析」と、小売のお客様が得意とされる「非定量的なスキル (接客など)」の間には大きなギャップがあります。そこを埋めるために、ハイタッチ且つお客様の強みを引き出すようなカスタマーサクセスをしています。
橋本:視聴者からのご質問がありました。「ABEJAのコミュニティは全顧客が対象か?それとも限定的か?」
丸田:基本的には全顧客です。しかし、段階的に変わってきています。
最初は熱量の高いリーダー層やサクセスしたお客様だけを集めていました。小さな火種から徐々に燃え広がるたき火のイメージですね。徐々に招く層を広くして熱量を上げていこうと試みました。
橋本:これって、一番最初はトライアルで思ったように上手くいかなかった時期もあったと思いますが実験段階はどのような感じでしたか?
丸田:実は、コミュニティ施策の最初の目的はどちらかというと既存顧客より新規顧客獲得を目的として始めたんですよね。
しかしやってみると、やっぱり既存のお客様が集まりやすかった。
また、既存のお客様が成功事例をシェアして下さり、その事例を真似した別のお客様がかなり早いタイムラインでサクセスしてくださいました。
結果を踏まえて「コミュニティは新規より既存顧客を対象とした方が効果があるのではないか?」という考えに至り、既存顧客に寄せていった経緯があります。
そこからより細かい分類もできるようになりました。
私たちの場合は、活用度とエンゲージメントの2軸で分類をし、以下の順でコミュニティに招待しました。
・活用度とエンゲージメントが両方とも高いお客様
・活用度は低いけどエンゲージメントが高いお客様
・活用度は高いけどエンゲージメントは低いお客様
・活用度とエンゲージメントが両方とも低いお客様
丸田: 無理やり英語のやる気がない生徒に「英語やれ」と言っても厳しいじゃないですか。それと一緒です。
データや定量にアレルギーがあるお客様に対し、「いきなりどうぞデータ使ってください」というのは難しいのです。
まずは成功事例とロールモデルの創出が重要。
つまり「最初はデータを使うの大変だったけど、使ってみたらすごくうまくいったんです」という活用度軸での成功事例と、エンゲージメント軸でいう熱量が高いロールモデルのようなお客様を作ります。
実際に、熱量の高いお客様がそうではないお客様と接触すると“火”が燃え移った事例がありました。そこで、先ほどお伝えしたようなお客様招待のステップを踏みました。
高田:ロールモデルは、「データ活用支援」や「ワークショップ」を通じて育てているのでしょうか?
丸田:最初はそうですね。それから徐々にコミュニティの中で学んで実践して成功して…というお客様が増えていきました。
高田:コミュニティに参加される方って企業の中ではどういったレイヤーの方なのでしょうか?
丸田:事業責任者や役員が決裁者で、サービス継続か否かを決めます。しかし実際にサービスを使うのは店舗や現場担当者の方です。
コミュニティ初期は、前者の「意思決定をする方」が割合として多かったんです。しかし今では8:2で現場の方が多いですね。
サービスの成功事例って「最終的な成果」と「そこに至るまでのプロセス」の2つに分けることができるとすると、後者のプロセスの話が多くなります。そのプロセスの話が刺さるのは現場寄りの方々なので、現場の方が多くなりました。
高田:コミュニティで学ぶ側はいいと思うのですが、ロールモデルになる側のメリット・モチベーションは何と言えるのでしょうか?
丸田:3つありますね。一つがPR、もう一つがフィードバック、最後はふわっとしていますがエンゲージメントの高さを理由とした貢献です。
コミュニティで「教える側」の3つのメリット
1. PR効果
2. フィードバック取得
3. ファンとしての貢献
こちらからも日本全国の小売企業さんに「どこどこの企業の方がこういった話をして下さいましたよ」という情報を流しますので、PRができます。
なので例えば、「うちはこんな成功事例があります。こんなことをやりました。皆さんだったらどうしますか?」というように、イベント参加者の方からアイディアを集約するようにしています。
自分が発表したことに対して、必ずフィードバックやアイデアが返ってくる。例えば50社がイベントに参加されているのであれば、50社分のアイデアを集めることができます。
お客様一人ひとりとちゃんと関係を築いているので、コミュニティ内イベント等でお客様に登壇して頂ける。
さらにその後の懇親会では「ABEJAのこのサービスすごく良いよ!」と言って、お客様自身が営業マンとなってくださることがあります(笑)
つづきは第2部をご覧ください
〈第2部目次〉
- お客様の課題解決の先に、自社の課題解決があるか?
- カスタマーサクセスがコミュニティ運営を本気でやるべき5つの理由
- 既存顧客が新しいお客さんを呼んでくれる仕組みとは
- ネガティブ発言にはどう対処すべき?ABEJA流クレーム対処法
- コミュニティ内のロールモデルの打ち出し方。陥りやすい罠とは
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