海外企業ユーザーコミュニティ事例第6弾!
今回は、セフォラ (SEPHORA)のコミュニティをご紹介します!
Dior(ディオール)やYSL(イヴサンローラン)などのハイブランド化粧品からドラックストアコスメまで多種多様なコスメを取り扱っている、1969年フランス発のセレクトショップです。現在日本での展開はありませんが、世界27カ国に展開しています。(日本では1999年に展開開始し、7店舗を急展開したけど実ビジネスが追いつかず2001年に撤退するというスピード感!)
元々は、幅広い取扱ブランド数と、「すべて試して購入できる」店頭販売体験を強みとしていました。
インターネットの普及に伴い1999年からECを開始。2017年からコミュニティを活用しています。
(SEPHORAのECサイトは
もともとSEPHORAでは、Facebookで同様のグループを運営していました。多少の盛り上がりはあったもののなかなかうまくいかず、自社コミュニティを立ち上げることにしたそうです。
コミュニティマネージャーによると、その理由は下記の3つでした。
・コンテンツが蓄積しないため、過去の素晴らしい投稿たちが消えていき、他方でライトユーザーから同じような質問 / 投稿が何度も行われ、コアユーザーが疲れてしまったこと
・自社サービスとの連携ができないため、アイテムについての情報が出せないなどユーザーフレンドリーではなかったこと
・カテゴリなどによる体系化ができず、データベースとして機能しないこと
日本でも、コスメキッチンやデパートの化粧品売場で美容部員さんと話したり、試用している方をよく見ますよね。化粧品は「自身の希望や肌の特性などの個別条件」に対して「膨大な商品数」の中から選ばなくてはならないため、選ぶのが大変難しい商材です。
一方で時間や距離の問題から気軽に店舗まで足を運ぶことができないため、ECで済ませられたら...というニーズも存在します。
特にアメリカでは地理的な制約が大きく、このニーズは顕著です。
そこでSEPHORAでは、EC上の商品レビューとは別に、気軽にQ&Aができるコミュニティを設けることでお客様同士で化粧品選びをサポートしあうことを可能としています。
コミュニティで自身の希望や肌タイプ / 悩みなどを投稿すると、似た悩みを持つ方がオススメの商品をレコメンドしてくれたり、過去の投稿の中から自分と近しい悩みを持つ方の投稿を参考にでき、ECでのコスメ選びを容易にしています。
またコミュニティにはビューティアドバイザーもおり、実店舗での体験になるべく近いものとなるよう対応を行っています。 (例えば、数種類の口紅を手の甲に塗った画像を共有し、ユーザーにイメージを湧かせてもらうなど)
SEPHORAのコミュニティ活用において注目すべきポイントとして、下記2点が挙げられます。
① コミュニティ→ECへのスムーズな購買体験
②求めるユーザーアクションを、すべて仕組みで促進
SEPHORAのコミュニティはECサイト内に存在しています。
これによりユーザーにとっては、コミュニティ⇆ECをストレスなくシームレスに行き来することができるため、UX上、非常に効果的です。
上記効果に加え、企業目線ではコミュニティ活動とEC購買を一貫して追うことができるので、顧客管理や各種施策の効果測定が行いやすくなるだけでなく、ECだけ提供していたときよりも拡張性を持ったカスタマージャーニー戦略が描けます。
例えば下記のようなアイテムタグ付け投稿機能は、コミュニティとECが一体となっていることで、コミュニティUX向上と売上インパクト向上の両者に寄与しています。
もうひとつSEPHORAでうまいのは、ユーザーに求めるアクションをうまくしてもらう仕組みを作っていることです。化粧品関連コミュニティだと日本では@cosmeQ&Aが多少近いものとして存在しますが、SEPHORAのほうが話題が化粧品に特化し分散せず、写真や具体的なアイテム名等の投稿も盛んになっています。
化粧品に特化するために、トピックはSEPHORAが選定したものしか話せないようになっていたり、(他ユーザーの)写真を中心としたUIによりユーザーの写真投稿を促したり...企業にとって理想的なコミュニティアクションをしてもらうための仕組みづくりを徹底しています。
ポイント①も、そのひとつです。アイテム投稿のハードルを限りなく下げ、アイテムタグ→ECへの導線を極限まで良くすることで、ECとコミュニティの循環を実現しています。
コミュニティ開始から1年後に測定したところ、コミュニティユーザーは一般ユーザーに比べて2倍の購買額となっており、その中でもコアユーザーでは、一般ユーザーに比べ10倍もの購買を行っていることがわかりました。
もちろんコミュニティ開始前から熱量が高いユーザーは存在しましたが、コミュニティを通じてコアユーザーの数が増えたこと、そしてコミュニティに参加した一般ユーザーの購買は増えることから、一定程度コミュニティが効果を発揮した好例と言えそうです。
「ユーザーコミュニティを作ること」を目的とせず、収益目標に基づいた「地に足の着いた施策としてのユーザーコミュニティ」と言えそうです。
個人的には、開始から1年でしっかりとしたVisible impactを創出しており、作り込みと仕組みがかなり効いてるんだろうな、と思いました...!
長文お読みいただきありがとうございました!
▼海外コミュニティ事例集一覧
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